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農業ネタ 第1号 【主要農作物種子法廃止の悪影響について】 「日本の農業のかつてない危機。我々の食卓は大丈夫か?自然農法は続けられるのか?」

 日本の農業が置かれている戦後最大の危機をご存知だろうか。私たちが普及を試みている、自然農法が近い将来できなくなる、恐れがあるというのだ。今回の農業ネタは他分野同様、大変重要な問題なので、何回かに分けて取り上げたいと思う。

主要農作物種子法廃止の経緯

 平成28年10月に、政府の規制改革推進会議が主要農作物種子法廃止を突然言い出した。平成29年3月、その質疑と採決が衆議院農林水産委員会で行われ、自民、公明などの賛成多数で即日可決された。しかもその廃止の根拠の説明として、農林水産省は、「もう少し民間企業に対しての配慮が必要ではないか、ということで廃止させていただきたい」のだと言う。農林水産省が意味するところは、ビジネスライクに私たちの食糧問題を捉えようと言うのである。

主要農作物種子法とは?

 主要農作物種子法(以下、種子法)とはなんだろうか?種子法は、1952年5月、米・麦・大豆の優良品種の生産・普及を促進するため、国が各都道府県に、これらの品種の元となる原種や原種の、さらに元となる原原種の、維持・確保を求めるための法律、として制定された。  

 簡単にいうと、主要農産物、すなわち、米、麦、大豆のタネがちゃんと生産されるように、国が監督して、都道府県は種子生産圃場で、日本古来の原種と原原種を生産し、その地域に合った優良品種を指定して農家に提供せよ、という法律である。

主要農作物種子法制定の背景と意義

 また、注目したいのは、種子法が制定されたのが、第2次大戦終結のための、サンフランシスコ講和条約が発効された、1952年4月の翌月というタイミングだ。戦中から戦後にかけて、食糧難の時代を経験したが、我が国が食料を確保するためには、「種子が最も大事だ!」と、主権を取り戻すのと、ほぼ同時に取り組んだのが、この種子法の制定だった。私はそこに、“二度と国民を飢えさせない”、“国民に食料を供給する責任を負う”という、国の明確な強い意思があったと思う。

 種子法の肝は、国が自治体などに対し、「その地域に合った作物の種」の開発・普及を義務づけている点。すなわち、日本の食糧安全保障の肝である「種」について、単純に「ビジネス」と化すことはせず、農家に安価で優良な種を提供することを、種子法が各自治体に義務付けていることだ。

主要農作物種子法廃止の問題点について

 種子法廃止によって、どんな問題があるのだろうか。例えば、大豆をめぐる米国の前例を踏まえれば、全国の各自治体が行う公的育種・種子事業が、短期間のうちに、国内大手及び、巨大多国籍企業の種子ビジネスに、置き換わる可能性がある。

 今回の種子法廃止の影響により、我が国の種子の生産・流通制度の変更だけでなく、全国の各自治体が所有する、育種技術と遺伝資源の、各自治体から民間企業への「譲渡」(を通じた「囲い込み」)、にまで発展する可能性が非常に高い。

 遺伝子組換え作物の、さらなる事業拡大を画策している、巨大多国籍企業は、除草剤耐性雑草(除草剤に抵抗力を持った雑草の出現)や、 BT 耐性害虫(遺伝子組換え除草剤でも死なない害虫)の発生・拡大をはじめ、遺伝子組換え技術の内在的な矛盾(危険性)が露呈してきたにも拘らず、小麦やコメの種子ビジネスへの拡大にも、関心を示しているだけに、その悪影響は計り知れない。

特許法悪用による自然農法種と食の安全排除の危険性について

 種子法のベースにあったのは、新しい品種をつくるために、素材となる品種=遺伝資源は、国や都道府県が“公共の資産”として持つ、という考え方だった。これが民間に委ねられた場合、遺伝資源を基にして、遺伝子操作された新品種について、遺伝子操作された部分だけでなく、種子全体に特許をかけ、企業がその所有権を主張することになる。

 これは「種子の私有化」を意味する。すでに民間が主体となっている野菜などの作物では、圧倒的な技術力と資本を持つ数社の多国籍企業が、中小の種苗会社を次々に買収し、世界中にシェアを拡大している。今スーパーなどで販売されている野菜の多くも、そうした多国籍企業の種子によるものなのだ。

 私たちが最も注意すべきことは、特許法を悪用して、例えば、米なら、遺伝子操作された部分だけでなく、種子全体に特許をかけることができるので、私たちは近い将来、自由に自然農法米の生産が出来なくなり、一切、食べられなくなる、恐れが高いのだ。

 何故なら、巨大多国籍企業等に、種子全体の特許を取得されたら、ロイヤリティ(特許料)を払わなければ、その種子が使えなくなる(しかも、使えるのは遺伝子組換え種子?)。私たちが自家採取する自然農法の種は使えないのだ。私たちが、自然農法で生産し、食べ続けてきた、私たちの貴重な財産である種米を、巨大多国籍企業の許可を得ずに、無断で使ってしまったら、特許侵害で訴えられ、莫大な損害賠償を請求されることになる。とんでもない事だ。絶対にこんなことは許してはならない。

種子法は日本の食卓を遺伝子組換え作物から守る防壁だった

 種子法の立法趣旨からすれば、在来種を汚染する遺伝子組換え(GM)作物の栽培は認められない。種子法は日本古来の種子を守る防壁であると同時に、遺伝子組換え(GM)作物の栽培を食い止める防壁でもあるのだ。

 この種子法は2018年4月に廃止されてしまう。この動きは、大変危機だと感じることは、正常な判断だと筆者は考える。しかも、この重要問題も、マスコミでは殆ど取り上げられていない日本の現状の危うさも、一言、付け加えておきたい。

 今回は、主要農作物種子法廃止(種子法廃止)が、私たちの食卓に与える悪影響、特に自然農法の普及を妨げる恐れが高いことをお伝えした。次回は、遺伝子組み換え作物の危険性などについて更にお伝えしたいと思う。

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