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環境ネタ 第2号  エネルギー対策が急務の日本を水力発電が救ってくれる?

 日本のエネルギー自給率は6%と言われている。我々の生活自体も、経済活動も、すべての分野で、このエネルギー、即ち電力を抜きにしては語れない。

 そのエネルギーの確保に、再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電等)や火力発電に頼っており、必要があれば、原子力発電の再稼働も必要だ、という議論がある。安全保障の観点からも、エネルギーは色々な方式に、分散される方が良いのは、自明の理である。

 そこで、今、密かに注目を集めているのが、水力発電である。日本は中央に山脈を有しており、そこから無数の川が流れているので、地形的にダムを造る環境に恵まれている。日本以外の国では、カナダや北欧の国々も地形的には当てはまるが、国全体の河川率の割合は遠く及ばない。

 我が国ほど、国土の中央に山脈が横たわり、四方を海に囲まれ、河川が多く、しかもダムを造るのに適する地形的条件に、恵まれている国は、世界でも例がない。

 今更、水力発電などという、使い古された仕組みが、日本を救うと言われても、ピンとこないのではないだろうか。水力発電というと、黒部ダム、高瀬ダム、徳山ダム等で、堤高順ではベスト3となる。観光スポットとしては、先ほどの黒部ダム、宮ヶ瀬ダム、豊平峡ダムが有名だ。その仕組みは、水力で羽根車を回し、それによる動力で発電機を回して、電気エネルギーを得る方式の事である。

 全国でダムと呼ばれているものは、色々な統計があるが、約3,000基余りと言われている。その中で水力発電に使われているのは、700基足らずである。我々の印象では、ダムと言えば、水力発電が付き物と思われがちだが、全体の23%に過ぎない。

 昭和32年に特定多目的ダム法が制定された。そのダムの設置目的は主に、治水と利水である。治水とは洪水対策、利水は飲み水確保対策である。この治水、洪水対策については、100年に一回、起こるかもしれないという確率の、巨大台風と豪雨に対する備えのために、ダムを空っぽにしている。ここに水を貯え、水力発電に使ったらどうかと思うのは、筆者だけではあるまい。

 昭和32年と言えば、遡ること3年の昭和29年に、青函航路で起こった、日本海難史上最悪の、死者・行方不明合わせて1,155人を出した、洞爺丸事故。当時の洞爺丸の船長は台風研究でも定評がある人物だったが、その船長の判断を持ってしても、台風の進路は予想できなかった。この洞爺丸事故の教訓から、このダム法は作られたと言われている。

 昭和30年前後の時代では、台風の進路を予想するなどは、不可能と言ってもいいほどで、結局は勘と経験に頼る、という状況での対応しかなかった。そういう環境下で、制定された法律なので、100年に一回の洪水にも、対応するためというような、途方もない、今となっては無駄としか言えないような使い方を、全体の77%にあたる、2,300基の多目的ダムで行っているのだ。

 現在は、AI、IOT、スパコン、気象衛星等を駆使することで、かなりの精度で、台風の進路と、降水確率や雨量を、予想できるようになってきている。最近の気象情報については、それほど大きく外れることもないほどに、信頼性が向上してきている。

 このように科学技術が発展してきている現代において、台風などの影響で豪雨による洪水に備え、2,300基のダムを治水用に空にしておくのは、勿体ないのではないか。台風の進路になると分かれば、発電をしながら、ダムの水を緩やかに流して、空にしていけばいいだけである。この多目的ダムの用途には、既に水力発電も含まれているから、法律改正の必要もなく、運用変更だけできる。

 新しくダムを造るとなると、大変な年月と費用が必要となるが、今あるダムを水力発電用に転用することは、比較的容易である。発電機を設置するだけであるが、その費用もそれほど掛からないらしい。しかも、水力発電は電力を安定供給できるのだ。

 もしこの2,300基もの治水・利水用に使われているダムを、水力発電用に転用することができれば、最大で日本で必要とされている電力量の30%を、賄うことができるというのであるから、利用しない手はない。

 この方法を阻んでいるのは、役所の縦割り構造だという事は、マスコミでは報道されていない。日本のように地形的に、ダムによる水力発電に適した環境を、頂いていることに、主神様に感謝である。未来の子供たちの為にも、電力の安定供給を水力発電で推進したいものである。

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